チーズの分類

フロマージュ(チーズ)

こんにちはパティシエ夫婦です。

最近は新しいチーズを食べられてないので、分類を解説しようかなと思います。

1.フレッシュチーズ (Fromages frais)

乳白色の生地で、この上なく爽やかな風味が口の中に広がる。ミルクの自然な凝固から得られるため、最も古くから存在するチーズのタイプでしょう。特にほかの材料を加える必要はなく、上質なミルクさえあればそれで十分である。

  • 代表的なチーズ:フェタ、ブルース・デュ・ローヴ、ローヴ・デ・ガリーグ、ジョンシェ、サヴール・デュ・マキ
  • 色味:アイボリー、外皮はない
  • テクスチャー:とてもなめらかで柔らかい。フランスでは子供が初めて口にするチーズは主にこのタイプである。フロマージュ・ブラン、プティ=スイスもこのタイプに分類される。

2.乳清チーズ(Fromages de lactoserum) ホエーチーズ

水分を多く含んでいるため(水分量82%)、光に当たると輝いて見える。その特殊な製法から「フェイクチーズ」と呼ばれることもある。このタイプはフレッシュチーズや他のチーズの水切りを行う工程で得られる乳清(ホエー)から作られる。出来上がった凝乳(カード)からさらに水分を取り除くために、水切りざるに入れることが多い。

  • 代表的なチーズ:ブロッチュ、マヌーリ、セラック、リコッタ・ロマーナ、ニーハイマー・ケーゼ
  • 色味:純白または灰色がかった白
  • テクスチャー:ほろほろと崩れやすく柔らかい。粒状。

ほぼ同じチーズでも名称が違う…このタイプのチーズは食糧を確保するために何も無駄に出来ない(してはならない)山岳地帯や遠隔地で生まれた。地域によって呼び方は異なるが、どれもよく似ている。違うのは乳種のみである。バスク地方に羊乳製のグリュイルというチーズがあるが、ほぼ同じチーズがアヴェロン地方ではルキュイットと呼ばれている。フランシュ=コンテ地方には牛乳製のセラックまたはセーラというチーズがあり、コルシカ島では山羊乳または羊乳製のブロッチュが作られている。フランス以外ではカナダにネージュ・ド・ブルビ、ギリシャに山羊乳または羊乳のマヌーリというチーズがある。

3.外皮自然形成チーズ(Pates molles a croute naturelle)

内側にも外側にもカビをほとんど植えつけないタイプで、山羊乳製のシェーブルチーズが多い。表面に灰色の木炭粉をまぶしたサンドレタイプを除き、外皮は自然に形成される。ほとんどの場合、1個単位で販売される小ぶりなチーズで、大きさも形状も多様である。乾燥すると独特なクセが強くなるので、出来るだけ早く食べきった方が良い。

  • 代表的なチーズ:サント=モール・ド・トゥーレーヌ、シャビシュー・デュ・ポワトゥー、ヴァランセ、ペライユ・デ・カバス、ビジュー
  • 色味:生成り色から雪のような白色までさまざまなニュアンスがある。淡いベージュ色を帯びていることもある。サンドレタイプは淡灰色、青灰色の外皮をまとっている
  • テクスチャー:熟成が進むにつれてソフトからクリーミー、セミドライ、ドライな組織へと変化する。長期熟成の場合、乾燥が進み、硬く引き締まった生地になる。

マルチスタイル…サント=モール・ド・トゥーレーヌ、セル=シュル=シェール、ヴァランセは木炭粉で覆われた灰色の外皮を特徴とする。プーリニィ=サン=ピエールやケベック産のコルヌビックの外皮は白く、細かいしわが寄っている。形状は実にバラエティー豊かである。小型であるため、、生産者たちはユニークな形状を考え出すことで、オリジナリティーを競い合っている。円柱形、ピラミッド形、レンガ形、練炭形、キューブ形、リング形など、想像力には際限がない!

白カビチーズ(Pates molles a croute fleurie)

チーズ界を代表するタイプで、白い綿毛のようなカビに覆われた、なめらかで艶やかな外皮をまとっている。この外皮は凝乳に「ぺニシリウム・カメンベルティ」などの白カビを植え付けることで得られる。白カビに覆われたソフトタイプのチーズはフランスだけの特産品ではない。アイルランドではヴォルケーノなどが作られている。

  • 代表的なチーズ:カマンベール・ド・ノルマンディー、ブリー・ド・ムラン、ブリー・ド・モー、シャウルス、ボンチェスター・チーズなど
  • 色味:灰色が買った白色、生成り色、亜麻色、雪色など、同じ白色でも種類によって色調が微妙に異なる
  • テクスチャー:ほどよく熟成すると、とろりとしたクリーム状の組織になる。若いものは中心に「白い芯」がある。これは白カビタイプ特有の質感である

緑色から白色へ…その昔、外皮を覆うカビは必ずしも白色ではなかった。カマンベール・ド・ノルマンディー、ヌーシャテル、シャウルスなどはかつて青灰色、灰緑色を帯びており、所々に茶色や赤色がかった斑点があった。外皮が白色になったのは、「ぺニシリウム・カメンベルティ」または「ジェオトリクム・カンディデュム」という微生物が培養されるようになった20世紀中ごろである。

ウォッシュチーズ(Pates molles a croute lavee)

最も匂いが強いタイプ!生地を塩水などで洗うことで表面に湿った膜ができ、そこから独特な香りが放たれる。ただし、その強烈な匂いに惑わされないように。その陰には繊細でまろやかな味、さらには深い旨味が隠れている。ラングル、マロワル、ビール風味のシードル・ド・クレキ・ア・ラ・ビエール、カナダのケベック名物のピエ=ド=ヴァンの強い香りを嗅いでみよう!アメリカ産のハービソン、ボッサは、それほど匂いは強くないが、ウォッシュタイプ特有のオレンジ色を帯びている。

  • 代表的なチーズ:リヴァロ、エポワス、マンステール、ピエ=ド=ヴァンなど
  • 色味:オレンジ色、褐色、銅色、赤銅色
  • テクスチャー:しっとりとなめらかで、熟成が進むとクリーム状になる

オレンジ色の由来は?…ウォッシュタイプ特有のオレンジがかった色味はリネンス菌の働きによるものである。この菌を投入した塩水などで表面を何度も洗いながら熟成させるが、オレンジ色は表面にしか現れず、中身はより淡いベージュ色をしている。ベニノキの種子から抽出されるアナトー色素で外皮を磨いて色味を出す場合もある。ラテンアメリカ原産のこの植物はカロテノイド(黄、橙色の色素)を多く含んでおり、天然の素材で着色することができる。

非加熱圧搾チーズ(セミハード)(Pates pressees non cuites)

11タイプの中でチーズの種類が最も多い。中型(1~5kg)が一般的だが、15kg,20kgに及ぶ大型のものもある。生地を加熱しないで圧搾するという製法で作られる。他のタイプと異なり、山地でも平野でも生産が可能である。サイズもテクスチャーも実に多様である。

  • 代表的なチーズ:トム・デ・ボージュ、サレール、モルビエ、ケソ・マンチェゴ、ペコリーノ・ロマーノ
  • 色味:種類が豊富であるため、淡いベージュ色からアレンジ色、黄土色、栗色、さらには灰色まで色のパレットも幅広い
  • テクスチャー:硬質なイメージがあるが、しなやかで弾力のあるタイプ、身が引き締まって乾いたタイプ、クリーミーなタイプなどさまざまである

加熱圧搾チーズ(ハードチーズ)(Pates pressees cuites)

大型が多く、重さが11kgに及ぶものもある。そのほとんどが長期保存の利く山のチーズである。熟成が進むとチロシンの白い結晶が形成される。粗塩と間違われやすいこの結晶ができる頃には旨味アミノ酸であるグルタミン酸がチーズの中に増えていき、塩味も増す。サイズが大きいだけでなく、フルーティーな芳香、とろけるような食感も際立っている。濃厚な旨味がぎゅっと詰まっている!

  • 代表的なチーズ:コンテ、ボーフォール、グリュイエール・スイス、パイオニア、ハイディなど
  • 色味:外皮はベージュ色、黄土色、栗色などを帯びている。中身は黄色、クリーム色をしているが、その濃淡は種類や熟成度によって異なる
  • テクスチャー:緻密でしっとりとなめらかな組織

なぜ大型が多いのか?…このタイプのチーズは山岳地帯で生まれた。酪農場や搾乳場が人里離れた場所にあるため、生産者たちは原料をできる限り無駄にしないように、大量のミルクを一度にチーズに加工する必要があった。各農家が所有する家畜の頭数は限られていたため、特に冬場に産物を分かち合うことができるように、それぞれが生産したミルクを持ち寄ってチーズを高地で共同で作る仕組みが生まれた。こうして人が背負って谷まで運ぶことができる大きさのチーズが作られ、村の住民に供給されるようになった。

青カビチーズ(ブルーチーズ)(pates persillees)

その姿を見て思わず怯んでしまう人もいるだろう。青カビが生地全体に生えているため、クセと刺激が強いタイプと思われがちだが、必ずしもそうではなく、穏やかな味わいのものも少なくない。ぺニシリウム・ロックフォルティまたはぺニシリウム・グラーカムを凝乳または成型したチーズに添加して植え付ける。あるいは青カビを人工的に添加せず、自然に繁殖させる製法もある。

  • 代表的なチーズ:ロックフォール、ブルー・ドーヴェルニュ、フルム・ダンヴェール、スティルトン、ゴルゴンゾーラ・ドルチェなど
  • 色味:白色、アイボリーの地に青、黒、緑のカビのマーブル模様が入っている
  • テクスチャー:ほろほろと崩れるように柔らかく、バターのようにねっとりしているものが多い

ピアシング…19世紀中頃、ロックフォール生産者の孫であったアントワーヌ・ルーセルが試行錯誤を重ねた結果、ぺニシリウム・ロックフォルティを凝乳に植え付けると、青カビが生地全体に広がることを発見した。彼はまた、カビが空気との接触で繁殖しやすくなることにも気づき、編針と同じ太さの針が何本も付いた専用の道具を生地に刺し、穴をあけて空気を通す製法「ピアシング」を開発した。この工程により、細やかな青カビがまんべんなく均等に分布し、美しい模様ができる。

パスタ・フィラータチーズ(Pates filees)

歴史的な理由からフランスではほとんど知られていなかったが、世界で最も販売されているタイプのひとつである。食品産業でピザなどの加工食品に使われることも多い。このグループのスターはいうまでもなく、モッツァレラ・ディ・タリアだが、他の国でも作られている。

  • 代表的なチーズ:モッツァレラ・ディ・ブーファラ・カンパーナ、カチョカヴァッロ・シラーノ、プロヴォ―ネ・デル・モナコ、ブッラータ・ディ・アンドリア、ケソ・テティージャなど
  • 色味:純白、アイボリー、生成り色など。スモークドタイプは黄色を帯びている
  • テクスチャー:生地はもっちりと柔らかく、(鶏ささみ肉のように)糸状にさけるという特徴がある。加熱するとよく伸びる。弾力があり過ぎてゴムのような食感のものは、あまり上質ではない。

幸運なアクシデント…モッツァレラはチーズ職人見習いが凝乳を熱湯の中に誤って落としたことで、偶然に生まれたものだという説がある。取り出した生地は練ると途切れることなく糸状に伸び、これを紡ぐとさまざまな形に成形することができたという。こうして、モッツァレッラとその仲間たちが誕生したのだった!モッツァレッラに関する最古の記述は12世紀に遡る。16世紀にナポリやカプアの市場で取引されるようになった。モッツァレッラ・ディ・ブーファラ・カンパーナは現在、イタリアのカンパニア州だけでなく、プーリア州、バジリカータ州、ラツィオ州で生産されている。

プロセスチーズ(Pates fondues)

子供が好きなチーズはこのタイプのものが多い。伝統的なチーズ専門店ではあまり見かけることはなく、スーパーマーケットで販売されている。数種のナチュラルチーズを、乳化剤などを加えて加熱して溶かし、再び成形する製法で作られる。ほとんどが工場製だが、工房製の逸品も存在する。乳清チーズと同様、ミルクからチーズを作った後に残る乳清(ホエー)を原料とするものもある。

  • 代表的なチーズ:カンコイヨット、フォール・ド・ベテューヌ、ポ・コルス、メジャン、コッホケーゼ
  • 色味:緑色または黄色がかった光沢のある白色
  • テクスチャー:なめらかで緻密な組織。つぶつぶした食感のものもある

チーズ加工品(Prepapations fromageres)

このタイプは伝統的に、不毛な土地に住む村民が農産物をできるだけ無駄にしないために考え出した「かさ増しチーズ」といえるだろう。材料になるものは何でも利用して混ぜ合わせ、ひとつのチーズに変身させた。乳製品の生産時にできるさまざまな残り物を寄せ合わせて作るため、どれも実に個性的である。

  • 代表的なチーズ:ガプロン・ドーヴェルニュ、ブーレット・ダヴェーヌ、セルヴェル・ド・カニュ、アフエガル・ピトゥ、ヤヌ・シエルスなど
  • 色味:さまざまな材料が添加されるのでカラーバリエーションも豊か
  • テクスチャー:硬く締まったタイプ、ぽろぽろと砕けやすいタイプ、なめらかな柔らかいタイプ、スプレッドタイプなど、さまざまである

バラエティー豊か…にんにくと胡椒のアクセントが利いたガプロン・ド・ドーヴェルニュは、バターミルク(クリームやミルクからバターを作った後に残る液体)から作られる。ブーレット・ダヴェーヌはマロワルの凝乳をベースに、パセリ、タラゴン、胡椒、クローブなどを混ぜたものである。さらには、フレッシュな凝乳に、残ったチーズの切れ端を加えて作る、クリーミーなスプレッドタイプのフロマージュ・フォールもある。残ったチーズにクリーム、バターミルク、あるいはミルクを混ぜれば、誰でもオリジナル・レシピを創作することができる!

まとめ

チーズの専門書買っといて、まだちゃんと読んでいないでこれ書いてますが、いろいろと面白いですね。日本のスーパーで売られているチーズはほとんどプロセスチーズですね!そのなかでも好きなのが十勝のスマートチーズです!

私はモンドールとサント=モール・ド・トゥーレーヌが好きです!モンドールは臭いですけと、コクがあって本当に美味しいです!10月頃~1月頃までの期間の販売にしていると思うのでぜひ食べてみてください!

みなさんも好みのチーズが見つかるといいですね!

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